InForms | Polymorphism of Information―情報の多態性
My Role: Art Director, Designer, Planner
データの「多態性」に触れる展覧会。
2024年3月18日(月)から3月22日(金)の期間、「Polymorphism of Information―情報の多態性」をTHE CAMPUS(コクヨ東京品川オフィス)にて開催。本展では、InForms から生まれた映像以外の作品群を制作し展示した。来場者が作品(データ)を「鑑賞」し、そこから得た気付きを周囲と共有することで、理解を深め新たな視点を得る体験と、新しいデータデザインの可能性を提案した。
「InfoTexture」のポスターの企画とディレクション、「Interactive Informs」のデザイン、ワークショップのファシリテーションを担当した。
主催・運営:WOW
共催:コクヨ株式会社
My Role: Art Director, Designer, Planner
InFormsにおけるデザインコンセプト“InfoTexture”は、データが現実世界で持っていた「質感」を、データ可視化の要素に取り込む。分布や変化、差異を伝えるデータの基本的な機能は残しながら、文脈や背景、現実世界での物質性といった質的な情報も織り交ぜ、量的・質的な観点を1つの造形の中に捉えるデータ可視化手法である。レアメタルの産出量データをもとに制作したCGのビジュアルを用いて、InfoTextureが生み出す「質感」と印刷技法を組み合わせ、映像の中に閉じない表現を探索した。
レンチキュラー印刷は視点移動というシンプルなインタラクションによって、ビジュアルとデータの関係性を浮き立たせる。これは、美しさが人々の関心や記憶に作用し、その先に思考・解釈があるという、InFormsが考える視覚表現の多層性を、1つのポスターの中で提示している。また、2.5D印刷技術によって質感の美しさを強化した絵画的な作品も制作。アートピースとして空間の中で存在感を高めるデータの形態を表現した。記号化されたデータに3DCGが「質感」を付与し、それが再び物理空間の中に実在化するという、「デコード」のプロセスを通じて、データを「感じる」ためのデザインを提案している。
2.5D Printing : Ricoh Co., Ltd.
Lenticular Printing:SHOEI, Inc.
Data source : U.S. Geological Survey, 2023, Mineral commodity summaries 2023, https://doi.org/10.3133/mcs2023
InfoTexutre/InfoSculptureの映像作品で制作した造形を、インタラクティブに操作しながら自由な視点で鑑賞することができるアプリを制作。
映像、ひいてはプリレンダリングCGというタイムラインが固定化されたメディアは、ビジュアルやストーリーを感じさせ、鮮烈な視覚表現で記憶に強く残すことができる一方、細部まで深く理解することが難しいという課題が、制作を通して見えてきた。鑑賞者各々の視点や関心を起点に、データとビジュアルの関係性を紐解きながら、ビジュアルからデータを「感じる」体験と、細部を「理解する」体験が相互に絡み合う、InFormsが提示する情報コミュニケーションのあり方を提示。
データを用いたクリエイティブアイデアを考える、WOWとコクヨの共同アイディエーションワークショップを2社から若手社員を中心とした約15名が参加して実施。展示したプレゼンテーションボードは、ワークショップで実際に各チームから出たアイデアである。WOWは映像表現を軸にさまざまな作品を制作しているが、本展ではポスターやプロダクトといった形でデータビジュアライズの多態性を模索した。他分野の発想を取り入れることで、さらなる表現を展開できるのではないだろうか。今後の開発・発表にも期待していただきたい。